スタッフコラム

2022.02.12

スタッフコラム

広東式「臘味/ラップメイ」をご紹介!

「臘味」(ラップメイ)
元々中華料理における伝統的な肉の貯蔵法の一種であった。冷蔵庫が普及してからは肉の保存方法としての重要性を失ったが、今日では様々な種類の「臘味」が開発され、市場に出回っている。また、広州には「秋風起、食臘味(秋の風が吹いたら、臘味を食べる)」ということわざがある。「臘味」は秋の空気が乾いた時期に美味しくなるようだ。2


中国全土でさまざまな「臘味」スタイルがあるが、香港では広東式が普及している。西洋の文献に記載されているビーフジャーキーなどのドライ製法に似ており、塩、砂糖、ワインなどで乾燥処理前に下準備を行う。2014年、ソーセージ、豚肉、アヒルの「臘味」製造技術は、伝統的な職人技として香港の無形文化遺産に登録された。

 
臘腸/膶腸(ラップチョン/ョンチョン)
香港で最も一般的なタイプの「臘味」は、臘腸(ラップチョン)と膶腸(ヨンチョン)。「臘腸」は豚肉を、「膶腸」はアヒルやガチョウのレバーを使用したソーセージ。濃口醤油、醤油、塩、ロゼワイン(玫瑰露酒)で肉をマリネし腸に詰め、調味料に浸した後、水分が25%以下になるように風通しの良いところで吊るして乾燥させる。


現在では充分な広い場所の確保ができない、気候が読めない、時間がかかるなどが原因で自然の風を用いて乾燥させるということはあまりなく、工場の機械で熱風乾燥処理を行うのが最もポピュラーな方法。肉は35~40℃の温度で空調された装置に入れられる。温度と持続時間は、処理中の肉の特性にもよるが、約500kgのソーセージであれば、通常3~4日間の熱風乾燥を経て完成。

 
臘肉(ラップュク)
臘肉(ラップユク)は、中国の有名な伝統的な塩漬け肉で、豊かな香りまろやかな味、豊富な栄養価、そして独特の風味を持つ。紀元前1500年、中国人は豚バラ肉を塩で硬化させ、歴史上最初の「ベーコン」を作った。その工程を改良し、火を通してみたり天日干しを行うなど試行錯誤した結果、現在ポピュラーとなった臘肉を生み出した。西洋のベーコンのようにそのものを食べるというよりも、香料やアクセントとして使用される。最高の豚バラ肉は五花肉と呼ばれ、文字通り「5つの花の肉」を意味し、5つの美しい肉と脂肪の層を持つ。脂肪が少ないと肉は乾燥し、脂肪が多すぎると脂っこくなる。肉屋で注文する際は、保存がきくか(肉と脂肪のバランスが良いか)を確認して購入するのがベスト。また、通常皮は付いたまま売られている。水に長時間浸すと、風味を損なうことなく柔らかくなり、蒸した後、すぐに食べることができる。


また「臘肉」には「広東臘肉」と「四川臘肉」があり、香港で主に売られているものは前者。砂糖、塩、醤油、白酒、八角(スターアニス)、花椒、シナモンでマリネして乾燥させたものだ。四川臘肉は、砂糖、塩、料理用ワイン、五香粉でマリネした豚バラ肉を乾燥させ、ヒノキで熏製したもの。

 
臘鴨(ラップアップ)
臘鴨(ラップアップ)は、アヒルの「臘味」。臘腸、膶腸、臘肉と並んで、冬の時期になると肉屋の店先にぶら下がっているのを見かけるであろう。秋から冬にかけて売られているが、アヒルはより多くのコストがかかり、作成に時間がかかるため、「臘肉」ほど頻繁に食べられるものではない。作り方は臘肉とよく似ており、調味料で数日間マリネし、涼しく乾いた場所で、天候にもよるが約7~14日間乾燥させる。


「臘鴨」は素晴らしく繊細な食感で、濃厚な鴨肉の風味があり「臘味」の中でも高級な部類に入る。「臘肉」とは異なり、そのものを食べる主食として用いられる。米と一緒に炊き上げると、素晴らしい香りと旨味がご飯に広がる。また一口大に切り、蒸してお粥と一緒に食べることも。

 

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