スタッフコラム

2022.02.14

スタッフコラム

広東しか食べれない!?温まる珍味 ①螺蛳粉

香港と広東で食べられるものはおおよそ差異はないが、この「螺蛳粉luosifen」は香港では全くと言っていいほど食べられない料理であろう。


ある統計によると、2020年に全国で一番人気のあった食べ物はタニシ麺(螺蛳粉)である。タニシ麺は年110億円を売り上げ、蘭州ラーメン、沙県小吃、麻辣烫、黄焖鶏と一緒に、中国の第五の国民食となった。特に若い人たちに人気があり、海外のファンもたくさんいるようで、アメリカやカナダでは高級中華レストランも提供されているのだとか。


タニシ麺は広西壮族自治区柳州市発祥のローカルフードの一つで、辛味、酸味、清凉感とともに独特な臭気を持つ。全国知られるようになったのは、2012年に放送された人気ドキュメンタリー番組「舌で味わう中国(中国語:舌尖上的中国)」で紹介されたことから徐々に人気に火がついたという。タニシ麺と呼ぶのは、タニシからとったスープが由来。原則タニシ自体は入っていない。初めて口にする際は辛さと独特の風味になれないかもしれない。そのタニシスープに柳州特有のやわらかく滑らかなビーフン、酸笋(筍の漬物)、落花生、揚げ湯葉、きくらげ、若菜などの具材を加えて完成。


タニシ麺の大きな特徴の一つは独特の臭気。しかしこの臭いが原因で有名になり、この「臭い」がなくなったら、まるで炭酸ガスの抜けたコーラのように受け入れられないようだ。形容されているのがトイレや足の臭いだとか。


名前からしてタニシが発する臭気と思われそうだが、その臭いの正体は「酸笋」という筍の漬物。筍を15~20日間ほど発酵させ、発酵過程で各種の酸、フェノール、アルコール、アルデヒドなどの物質が発生する。広西大学の研究によると、この酸笋の中に54種類の揮発性物質が検出されたとのこと。発酵臭、カビ臭、土臭など、臭豆腐と同様な臭いである。だがその臭いが美味しいと多くの人を魅了し、この2年間で人気のグルメとなった、各都市には非常に多くのタニシ麺店があり、年収100億近くの産業となった。また、柳州には専門の「タニシ麺学院」がある。


柳州は水田が多く、数千年前から現地の人たちはタニシ麺を食べる習慣があった。その後、唐の時代に稲作がはじまり、米粉に加工し麺を作っていた。


タニシ麺の起源は諸説ある。その一つが、1980年代初期のある日の深夜に、何人かの外来者が柳州に来て、閉店前の屋台にたどり着く。しかし当時定番であった動物の骨からとったスープが時間的にほぼ底を尽いており、タニシスープが一つしか残っていない。屋台の主人はビーフンをタニシスープにいれてひと煮たち、野菜と落花生などの副菜を加えて提供した。これが意外にも好評を呼んだことから屋台の主人は具材などを改善し、今にも注目されているタニシ麺の原型となったとのこと。


近年、多くの企業がインスタントのタニシ麺を販売するようになり、なんと日本の中国雑貨店などでも販売されているという。驚くことに月餅やポテトチップス、KFCなどのその他の飲食業もタニシ麺を参考に商品開発をしており、KFCはタニシ麺の定食を出し、月餅の商店はタニシ麺の餡の月餅を出すほか、タニシ麺味の鍋やアイスクリームなども近年人気の食品になった。


身体が温まるのはいいが、日本人だと臭いに抵抗のある人は少なくないだろう。臭いと辛さ、酸味がそれぞれ強く主張する一品、チャレンジ精神のある方は試してみてはいかがだろうか。


 
 

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